『平屋民家をサロン・住宅にリノベーション』2018年

『平屋民家をサロン・住宅にリノベーション』2018年

「祖父から受け継いだ入母屋の家」

K様が受け継いだ祖父が建てた、平屋の入母屋のお家。香川県の田舎には沢山見られる反った屋根の形。格式のある伝統的なお家です。
間取りは玄関から入ると、廊下を挟んで北側にキッチン・お風呂場、南側にリビングダイニング・和室と昭和の雰囲気を感じる間取りでした。寒い冬も北側の小さなキッチンで一人、壁を向いて調理。廊下を渡ってリビングダイニングに食事を持っていくという、住み心地が決して良いとは言えない住空間でした。
将来、サロンを持ちたいという奥様の夢。そして家族が暮らしやすいお洒落な家にするべく全面リノベーションを決意。
まず、K様が一番気になっていた入母屋の屋根。スタイリッシュに見せる為に選んだガルバニウムの屋根は、見積を出すと、工事予算の3分の1もかかる事が判明。入母屋の屋根はとても複雑な構造でした。悩んだ結果、屋根の工事は諦める事に。元々車庫だったスペースをサロンにし、通りから見えるサロンのファザードを増築し、入母屋を隠すように立ち上げました。外壁は茶色のトタン壁をブラックのガルバニウムに張りかえました。サロンはレトロなヨーロッパスタイルに。サロンのエントランスにはフランスのアンティークロートアイアンドアをチョイス。サビなどを落として塗装し直し、手の込んだ作りになりました。

  

「時代を刻んだ梁が見守るリビング」

サロンからも行き来できる住空間のリビングダイニングはワンルームに。天井は吹き抜けにし、古いトラス梁を見せる作りに。梁も全て磨き直し、塗装しなおしました。リビングに取り付けたアイアンとガラスの大間仕切りは、リビングと子供部屋を簡易的に空間分けする為。成長と共にガラス面にカーテンをつけるなどしてカスタマイズします。ガラスのむこうのアクセントクロスは輸入クロス。ワンリームのリビングに変化をつけています。

 

 

「モールテックスのダイニングキッチン」

キッチンは、ダイングテーブルとキッチンを併用したデザイン。奥様の好みのモノトーンのカラーに合わせて、強度と風合いのあるモールテックス仕上げのカウンターテーブルにシンクのみを設置。対面に調理機器とフードを設置しました。生活感が出る冷蔵庫は見えないようにタイル貼りの壁の中に収めました。リビングにある三角型の引き戸を開けると寝室に。寝室からパントリー、お風呂場、洗面とつながる動線にしました。

 

「オーダーメイドの建具」

全ての部屋でこだわり抜いたオーダーメイドの建具達。アンティークドアはダメージや反りもあり、金物も使えない事は多いのですが、全て手作業で削り反りをなおしました。ウォークインクローゼットにはミラー付きのアンティークドアを。内開き扉にしてクローゼットの中で姿見として使います。住居部分の玄関を入ると、幅2m高さ2.6mの大きな扉が。アイアンフレームでオーダーメイドで製作しました。ワンルームでシンプルな間取りだからこそ、ひとつひとつのドアがポイントになります。完成すると、外観の瓦屋根の重厚感と内装のレトロで柔らかい雰囲気のギャップが面白い調和を生みました。リノベーションだからこそ作り出せる空間です。

 

 

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