オーナー様は40代女性。レストラン兼住宅にお住まいでした。レストランをたたんでからは、母が安心して住める家を持ちたいという思いで家づくりを計画していました。
父がレストランを始めた頃、苦労して手に入れ、母と二人で地元に愛される場所を築いてきた、
父の面影が残るずっと住みつづけた土地で建て替えを決心されました。
「コンパクトな間取り」
女性オーナー様の家づくり、一番のご要望はコンパクトでコストを抑えながらも家事動線を考えた間取りです。
そして、リビングからでも気配を感じる母の部屋、母の部屋からトイレ、洗面、風呂にスムーズに行ける事、
LDKは玄関からもプライベートを保てるように、玄関スペースは来客も対応できるゆとりのあるスペースなど、
ご要望をぎゅっと詰めた住まいを計画しました。
「LDK」
LDKは18畳。コストカットと意匠も兼ねて、二階の小屋梁を現しにしています。天井を貼る建材を省け、また天井も高く見せる事も可能に。約2.9mの天井高にしています。
レストランの厨房機器に慣れ親しんだオーナー様。ステンレスのキッチンをご希望されていました。
シンプルで使いやすい大きさのステンレス天板。キッチンパネルもマグネットが付くステンレスを採用しています。
キッチンからは3畳のパントリーにも繋がる為、小さな動線で家事が出来るように計画しました。
「思い入れのある出前箱」
オーナー様が大切に保管されていたレストラン当時の出前箱。何かに生かしたいとの思いを聞き、カップボードの引出しにリメイクしました。見える収納を希望されていた為、収納はスライドのワゴン式。
幅2.7mで食器やミシンなども納まる大収納のカップボードに。世の中に1点だけの造作家具です。
「階段」
コンパクトな間取りの家、階段をどの位置にレイアウトするかが、設計のポイントでした。
存在を感じさせない、また階段スペースだけの為に坪数を取らない、邪魔にならない階段を計画。
リビングから2段程上がると、土間の踊り場を経て二階に上がります。階段下には土間のシューズクロークのスペースに利用しています。造作で作ったウォルナット材の手摺もアクセントに。
「洗面」
洗面所は5.5畳ある、ゆとりのあるスペースにしました。洋服を掛ける収納やアイロンなども出来る作業台を備えた造作棚を製作しました。
大きな洗面ボウル、洗濯機横にはアイアンポールを吊り、ランドリースペースとしても充実した空間に。
「Door」
土間からLDKへ繋がる引き戸は無垢板の一枚板を使用しました。節や自然の木の皮部分を生かした自然なフォルム。中央にはステンドガラスを入れ、灯りは見えるけどリビングの中は見えないように工夫しています。
ハンドルはウォルナット材の8角形の支柱に、持ちやすさとデザインを兼ね備えたものにしています。
敷地面積240㎡
建築面積76㎡